「非薬物療法」という言葉はあまり聞きなれないかもしれません。一般的な言葉ではありながら、認知症
治療に関して使われることが多く、文字通り薬物を使わないで治療する、状態をよくする方法です。
　この療法には、認知機能に働きかけ、中核症状を改善するものもありますが、ほとんどはBPSD（行動心理
症状）を改善して、QOL（生活の質）を上げることがゴールになっています。
　具体的にいくつか紹介しますと、趣味・ゲーム・手工芸・運動などのアクティビティを提供する作業療法
、音楽を聴いたり、演奏したり歌ったりすることで心の安らぎや達成感を得る音楽療法、過去の体験を人と
共有し、心理的安定や喜びを得る回想法、その他アロマセラピー、アニマルセラピー、化粧療法、絵画療法
、園芸療法などがあります。新しくは人間らしさと優しさに基づいたケアを行い、人間らしく寄り添うこと
を大切にする「ユマニチュード」も、この非薬物療法のひとつです。